つみたてNISA(積立NISA)のアクティブファンド、その実力を検証する

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(2018.01.10公開)

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つみたてNISA(積立NISA)のアクティブファンド、その実力を検証する

アクティブファンドを選ぶ時は「個人投資家の選択眼」が必要だけど…

つみたてNISA(積立NISA)の対象となる投資信託は、インデックスファンドとアクティブファンドの2種類に分かれています。商品数を見ると、インデックスファンドが135本、アクティブファンドが17本と、圧倒的にインデックスファンドが多いです(2018年8月10日時点)。

インデックスファンドは、同じベンチマーク(その投資信託が運用の「目安」としている指数)への連動を目標とする限り、運用成績にはそれほど大差は生じません。

アクティブファンドの場合、さまざまな要因で、商品ごとに運用成績で差が出やすい。

一方、アクティブファンドの場合、投資対象や投資哲学、運用方針、コストの多寡、資金の流出入の状況、ファンドマネジャーの運用能力、リサーチ能力、それらを包含する投資環境の良し悪しなど、さまざまな要因で、商品ごとに運用成績で差が出やすくなります。そのため個人投資家には、「どのアクティブファンドを選べばよいのか」という選択眼が求められます

しかし、つみたてNISAの場合、金融庁がフィルターとなりリストアップされたことで、「金融庁が“お墨付き”を与えた」「大きく外れるようなことにはならないだろう」と考え、深く考えずに期待をかける人が結構いるのではないかと考えています。

そこで今回は、実際につみたてNISAの対象となっているアクティブファンドの実力を比較・検証してみました。

※2024年からの「新NISA」をどこで始めるべきかお悩みの方は、【2023年】新NISAおすすめ口座5選【証券会社・銀行を比較】もあわせてご覧ください。

つみたてNISA対象アクティブファンドの「運用成績」を検証する

はじめに、みなさんが一番気になるであろう「運用成績」を比較・検証しましょう。

つみたてNISA対象のアクティブファンドの運用実績と純資産総額

ファンド名 運用会社 トータルリターン(%) 純資産総額
(億円)
3年(年率) 5年(年率) 設定来
EXE-i グローバル中小型株式ファンド SBIアセットマネジメント 5.65 11.57 69.20 56
結い2101 鎌倉投信 5.08 7.41 101.10 372
コモンズ30ファンド コモンズ投信 8.27 12.59 222.08 145
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド セゾン投信 1.75 7.15 46.03 1,653
セゾン資産形成の達人ファンド セゾン投信 7.30 14.22 117.46 659
ハッピーエイジング20 損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント 3.57 9.83 51.08 105
ハッピーエイジング30 損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント 2.74 8.30 51.98 128
ハッピーエイジング40 損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント 2.52 6.44 49.42 154
大和住銀DC国内株式ファンド 大和住銀投信投資顧問 3.58 10.27 36.11 136
年金積立 Jグロース 日興アセットマネジメント 6.84 14.72 158.40 243
ニッセイ日本株ファンド ニッセイアセットマネジメント 2.33 10.01 133.83 846
のむラップ・ファンド(積極型) 野村アセットマネジメント 2.06 8.44 107.57 246
フィデリティ・欧州株・ファンド フィデリティ投信 6.24 12.45 177.80 192
フィデリティ・米国優良株・ファンド フィデリティ投信 2.92 13.00 116.07 206
世界経済インデックスファンド 三井住友トラスト・アセットマネジメント 1.72 6.32 124.86 581
ひふみ投信 レオス・キャピタルワークス 14.48 20.90 412.05 1,436
ひふみプラス レオス・キャピタルワークス 14.62 21.07 317.60 6,211
ファンド名運用会社 トータルリターン
5年(年率・%)
純資産総額(億円)
EXE-i グローバル中小型株式ファンドSBIアセットマネジメント 11.57 56
結い2101鎌倉投信 7.41 372
コモンズ30ファンドコモンズ投信 12.59 145
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドセゾン投信 7.15 1,653
セゾン資産形成の達人ファンドセゾン投信 14.22 659
ハッピーエイジング20損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント 9.83 105
ハッピーエイジング30損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント 8.30 128
ハッピーエイジング40損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント 6.44 154
大和住銀DC国内株式ファンド大和住銀投信投資顧問 10.27 136
年金積立 Jグロース日興アセットマネジメント 14.72 243
ニッセイ日本株ファンドニッセイアセットマネジメント 10.01 846
のむラップ・ファンド(積極型)野村アセットマネジメント 8.44 246
フィデリティ・欧州株・ファンドフィデリティ投信 12.45 192
フィデリティ・米国優良株・ファンドフィデリティ投信 13.00 206
世界経済インデックスファンド三井住友トラスト・アセットマネジメント 6.32 581
ひふみ投信レオス・キャピタルワークス 20.90 1,436
ひふみプラスレオス・キャピタルワークス 21.07 6,211

※投資信託の名称は、運用会社の五十音順で表示しています。同じ運用会社で複数の投資信託がある場合は、投資信託の名称の五十音順で表示しています。

※つみたてNISA対象のアクティブファンドの本数、純資産総額は2018年8月9日時点のものです。

※トータルリターンの数値は2018年7月31日時点のものです。

ズバリ言うと、運用成績はまちまちです。それも当然です。ここではまとめてひとつの表にしましたが、国内市場を主要な投資対象とするアクティブファンドと、海外市場に投資するアクティブファンドが混在しているからです。投資対象が異なるのですから、運用成績を単純に横比較することはできません。

ただ、同じ投資対象同士で比べても、運用成績は大きく異なります。

国内株式を主要な投資対象としているアクティブファンドを5年のトータルリターン(年率)で比較すると、低いもので7.41%(結い2101)、高いものだと21.07%(ひふみプラス)となっています。

ちなみに、レオス・キャピタルワークスの「ひふみ投信」と「ひふみプラス」は、米国の株式市場へも投資しているので、現状では純粋な国内株式型ではありませんが、基本的には国内株式に投資しているアクティブファンドといえます。

また、海外市場に投資しているアクティブファンドのなかには、セゾン投信の「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」や「セゾン資産形成の達人ファンド」のように、世界各国に分散投資するものや、フィデリティ投信の「フィデリティ・米国優良株・ファンド」や「フィデリティ・欧州株・ファンド」のように、米国や欧州といった特定の国に投資するものなど、さまざまなタイプが混在しています。

これらの点から考えると、投資信託の基本的な設計や運用方針、投資対象、そして運用成績によって、金融庁はつみたてNISA対象の投資信託を選んでいるのではない、ということが分かります。前述の通り、国内株式型だけで見ても、7.41%から21.07%もの運用成績の差があります。もし運用成績が選択基準に入っていたら、運用成績にこれほどの差が生じるはずがありません。

つみたてNISA対象アクティブファンドの「選定基準」を検証する

次に、つみたてNISA対象アクティブファンドの「選定基準」を比較・検証しましょう。

金融庁が公表している、つみたてNISA対象のアクティブファンドの主な選択基準は以下のとおりです。

  • 純資産総額が50億円以上ある
  • 運用を開始してから5年以上経過しており、その3分の2以上の期間で資金流入が続いている
  • 信託報酬が、国内資産を対象にしたものは年率1%以下、海外資産を対象にしたものは1.5%以下である

運用期間の3分の2以上で資金流入が続いている点を選択基準にしているのは、継続的な資金流入がアクティブファンドの運用成績を支えるという考え方があるからと推察できますが、ファンドマネジャーの運用能力やリサーチ能力に関する評価などは特に加味されていないことが分かります。

「金融庁の“お墨付き”」だけでアクティブファンドに飛びつくな

以上の検証から、つみたてNISAの対象となったアクティブファンドは、確かに資金が安定的に流入し続けている「良いファンド」だといえるのかもしれませんが、「運用成績が良いファンド」とは必ずしもいいきれないと言ってよいでしょう。

アクティブファンドを選ぶ際は、ご自身でしっかり判断できる投資家を目指しましょう。

つみたてNISAでアクティブファンドを選ぶ際には、その点に留意したいものです。「金融庁の“お墨付き”だから」と安易に飛びつかず、ご自身でしっかり判断できる投資家を目指しましょう

今回、執筆いただいたのは
金融ジャーナリスト・鈴木雅光さん

鈴木雅光さん

金融ジャーナリスト、有限会社JOYnt代表

1989年、岡三証券に入社後、公社債新聞社の記者に転じ、投資信託業界を中心に取材。1992年に金融データシステムに入社。投資信託のデータベースを駆使し、マネー雑誌などで執筆活動を展開。2004年に独立。出版プロデュースを中心に、映像コンテンツや音声コンテンツの制作に関わる。

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